紐の木彫/結び目のはなし
The wood carving of string / The story of knot (theory)

板から紐を彫る作業は、通常の文脈的なアプローチでことを為すのとは違って、
道すじのないところから、異なる層にある方法で回路が開けていく様子に似ている。

Carving out the shape of the string from the wood panel is different from the usual contextual approach and is similar to opening up a route from where there is no path using a method that comes from a different dimension.

“a loop”
2020
170×190×h19mm
camphor wood/樟


“The wood carving of string”
2020
80×235×d18mm
camphor wood/樟

紐の彫刻

4_1ii
6_1ii
7_2ii
8_1ii
8_2
8_2ii
8_3ii
8_6i
8_8i
11n_42ii
11n_42iii

Knot drawings
2020〜
A4 size

結び目のドローイング

5_2
6_1
7_2
8_2 (in progress)
8_2
8_2 (stretched membrane)
8_16
11n_42

Knot (Theory) Sculptures
2020〜

樟 (8_16 : 朴)

結び目のはなし

板から紐を彫ることは急に思いついた。促されて歩きはじめてしまうような方向と運動やそれに伴う時間をもつ通路としての性質を持つ線的な紐は、太さという実体のある塊でもあり、彫ることによって、線のはたらきとは違うアプローチで出現できることが私には面白かった。その後、トポロジーの結び目理論のことを知り、構造を借りてかたちをつくっている。

「結び目理論 knot theory とは、紐の結び目を数学的に表現し研究する学問で、低次元位相幾何学(トポロジー)の1種である。」(Wikipediaから)

あやとり紐は複雑な構造体をかたち作ったとしても、ほどくとシンプルな輪になることから、結び目のないかたち(Unknot)とされる。結び目理論ではほどけない構造をもった結び目の状態について、まずは二次元写像にして交点の重なりや線の向きからいくつかの不変量を見出し、数学的に取り扱われているという。

板から結び目理論の紐のかたちを彫るには、表面と裏面それぞれから紐の交点の重なりを注意して削っていく。二次元として理解したかたちに、三次元目の隙間を加えていくような制作になる。

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